有望な若手を次々と引き抜かれ...。ヴェルディ永井秀樹監督のジレンマ (4ページ目)

  • 会津泰成●取材・文 text by Aizu Yasunari
  • 写真提供:東京ヴェルディ

―― 一方で、即戦力になりそうな選手も獲得していますが、10年ぶりにヴェルディ復帰となる富澤清太郎がキーパーソンになりそうですね。

 J1にいた頃のヴェルディを知る清太郎が、戻ってきてくれたことは非常に大きい。清太郎は、SC相模原でキャプテンを任されていて、J2に昇格して「よしこれから!」という段階だったにもかかわらず、ヴェルディ復帰を受けてくれた。相模原にしてみれば、難しい決断だったはずだし、本当感謝しかない。

 ヴェルディで育ち、いろいろなことを学んで、必要とされてマリノスに移籍して副キャプテンまで任され、その後はジェフ、アルビレックスとさまざまなクラブで経験を積んだ。昨シーズンは、J3ではあるけれど、キャプテンとしてチームをまとめてJ2昇格に貢献した。

 今の我々に足りない部分、例えば、失点するとすぐ気持ちが落ちて俯(うつむ)いてしまうような雰囲気を変えてくれるはず。かつてのヴェルディにあった、ハングリーな強さ。嘉人とはまた少し違った、ヴェルディの強さを知っている選手はどうしても必要だった。

―― 昨シーズンは固定せず、試合ごとに変えていたキャプテンについて、今シーズンはどう考えていますか?

 昨シーズンは都度ふさわしいと思う選手にキャプテンを任せて試した。みなそれぞれ期待に応えてチームをまとめてくれた。そんな中で、今シーズンは平(智広)に任せることに決めた。平はどちらかと言えば寡黙で、たくさんの言葉でチームを引っ張るタイプではないけれど、職人というか、背中でチームを引っ張っていってくれると思っている。

 昨シーズンはほとんどの試合に出場して、常にチームのために献身的にプレーしてくれた。寡黙なだけに、ここ一番という時に発する言葉はみんなの心に響く。平がキャプテンとして先頭に立ち、昨シーズン、キャプテンマークを巻いた(佐藤)優平や(小池)純輝、若い(山本)理仁や(森田)晃樹、そして、清太郎が副キャプテンという立場で支え、チームを引っ張ってほしい。

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