大黒将志は伝えたい「偶然はダメ。理屈でやるからゴールを決められる」 (3ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

◆日本が悩むストライカー育成。ウルグアイから学ぶべきことは何か?>>

「ヘディングも大事です。しっかり当てて、狙った場所に叩きつけるとか、どんなシュートだとGKは取りづらいかとかも教えたい。あとは、GKがどういう動きをするかを理解した上で、どんなフェイントをするか。それが頭に入っていれば、GKを見ずにシュートを打っても入るんです」

プロになってからユース時代の指導を思い出し、大黒はストライカーの才能を開花させた photo by AFLOプロになってからユース時代の指導を思い出し、大黒はストライカーの才能を開花させた photo by AFLO 大黒はさらりと「GKとDFの動きには習性があって、こっちがこうしたら、相手はこうするというパターンがあるんです」と言ってのける。つまりセオリーの逆をとれば、ゴールを決められると言うのだ。大黒はその考えの正当性を、222ゴールという形で示してきた。

 これまで、点を取るロジックについて話してきた大黒に「ゴールを決めるために、もっとも大事にしていたことはなんですか?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。

「根性論で言うわけじゃないけど、点を取りたい気持ちはすごく大事。1点取ったら2点目、2点取ったら3点目を狙う。その気持ちがすべての始まり。気持ちがないと、人って動き出さないじゃないですか。常にゴールに飢えていること。その気持ちプラス、ボールを止めて、蹴る技術、動き方の技術、シュート技術、タイミング、そのへんですね」

 大黒には現役時代、「チームの誰よりもシュート練習をしてきた」自負がある。理論と実践を繰り返してきたからこそ、ゴールという扉を開ける鍵を手に入れられたのだろう。

「シュート練習はめちゃめちゃ大事です。どのチームでも、僕がいちばんシュート練習していたんです。だからチームでいちばん点を取ることができたんだと思う。何個かあるんですよ、これをやっていればOKというシュート練習が。5、6種類のシュート練習をいろんなパターンでやると、試合中にどんなボールが来ても対応できる。それは、ガンバのアカデミーに来てもらえたら教えます(笑)」

 ゴールに飢える若き才能が大黒と出会ったら、化学変化が起きそうである。ストライカーコーチ大黒の活躍に、期待は膨らむ。

(おわり)

大黒将志
おおぐろ・まさし/1980年5月4日生まれ。大阪府出身。ガンバ大阪の育成組織で育ち、99年にトップチームに昇格。01年のコンサドーレ札幌時代を挟み、05年までG大阪でプレー。以降、グルノーブル(フランス)→トリノ(イタリア)→東京ヴェルディ→横浜FC→FC東京→横浜F・マリノス→杭州緑城(中国)→京都サンガF.C.→モンテディオ山形→栃木SCと、多数のクラブでストライカーとしてプレー。公式戦通算222ゴールを挙げた。日本代表では22試合出場5ゴール。2021年に現役引退を発表。2月から、G大阪の育成組織のコーチを務める。

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