2020.12.22

「つなぐ徳島」と「強度の福岡」。昇格2チームはJ1で生き残れるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 J1でも、ボールゲームの追求が徳島の命運を握るはずで、J2では最も"サッカー"が濃厚に匂った。しかし、高いレベルを戦うにはプラスアルファが必要か。

 一方の福岡は、長谷部茂利監督が就任1年目で昇格に導いている。4-4-2のベーシックな戦い方で、随所にJ2では突出した選手の強度が散りばめられていた。徳島戦でも、空中戦、球際の激しさ、出足の速さ、推進力などでパワーを発揮し、敵を凌駕。例えば前線のはめ込みから、ボランチの重廣がショートカウンターの切り替えで縦に突っ込む姿は迫力満点だった。

「アグレッシブに戦う。例えば切り替えのところの速さとか、アビスパのスタイルとして確立していきたいと思います。ボールを止める、蹴る、運ぶ、どれも大事ですが、まずはペナルティエリアの狙ったところに蹴る、スピードを持って入っていく、もしくは逆を取るなど、サッカーの本質のところは高めていきたい。まあ、Jリーグで逆を取るプレーができているのは川崎フロンターレくらいで、ほとんどが悩んでいますが、難しいのは承知で挑みたい」(福岡・長谷部監督)

◆「今季J1、川崎フロンターレ以外で面白いチームはあったか?」>>

 今シーズンは鍛えられた強度で、相手を圧倒してきた。それが守備の堅牢さにつながった。守りが安定し、試合の時間帯によって戦い方のテンポを上げられるようになって、勝負にかけるタイミングをデザインできつつある。基本が応用に変化し、徳島と並び昇格に相応しいチームだ。

 しかし、J1を戦い抜くには今以上の戦力を準備する必要がある。徳島のように同等の戦力で主導権を握ろうとするチームや格下相手なら、ミスを誘発し、踏み潰すようなサッカーができるが、J1にはそうした相手は少ない。

「(来季に向けて)補強はたくさん必要」

 長谷部監督は笑顔で言って煙にまいたが、それは本音でもあるだろう。レンタルでの在籍選手も少なくなく、引き止めは難航するかもしれない。その行く末は未知数だ。

 優勝した徳島はその点、もっと不透明である。なぜなら、指揮官のリカルド・ロドリゲスは退任が濃厚で、後任にはスペイン人監督の名前が挙がっている。