2020.12.22

「つなぐ徳島」と「強度の福岡」。昇格2チームはJ1で生き残れるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 2020年J2最終節、アビスパ福岡対徳島ヴォルティスの一戦は、図らずも優勝決定戦になった。首位の徳島は敵地で2位の福岡と対戦し、1-0と敗れて勝ち点で並ばれたものの、得失点差で上回って優勝を決めた。

 両チームとも、来季はJ1リーグへの挑戦となる。徳島は2014年以来、福岡は2016年以来のJ1復帰だけに、まずは現実的に残留が目標になるだろう。コロナ禍の変則的なリーグ戦とあって、来季は4チームも降格するのだ。

「終わりは始まり」

 徳島の選手は神妙に語っていたが、昇格の祝祭は新たな船出の合図でしかない。はたして、昇格2チームは生き残れるのか。

J2優勝を喜ぶリカルド・ロドリゲス監督と徳島ヴォルティスの選手たち 最終節の戦いは、両チームの戦い方の縮図だったと言える。

 徳島は後方から丁寧にビルドアップし、相手のマークをはがしながら、ボールゲームで優勢に立とうとした。リカルド・ロドリゲス監督が就任してから4年目となり、人は変わってもチームに浸透させてきた戦い方。それがひとつのガイドになって、各ポジションの選手が成長を示してきた。

 チームの中心はボランチの一角、岩尾憲だろう。立ち位置がよく、ボールの受け方、入れ方が自然なため、周りとの連係が良く、補完関係を作り出せる。彼がボールを触ることで、劣勢をも挽回できるのだ。

 しかし、自陣からボールをつなぎ、運ぶというのは、サッカーで一番リスクを伴う戦い方だ。ボールを繋いでいる間、どうしても守備は後手に回るだけに、奪われた場合はひっくり返され、失点の可能性が高まる。それを回避するには、並外れた技術と連係が必要になるのだ。

「福岡が前から(守備に)来るのはわかっていて、球際の強さだったり、ホームの後押しだったり、厳しい状況のところでも、どうやって相手をはがすのか、という試合でした。そこで早い時間帯にミスから失点してしまったことは、自分たちのスキルや判断がまだまだ足りなかったんだなとは思います」(徳島・岩尾)

 前半16分、はめてくる福岡に対し、徳島はしつこくつなげようとするが、パスをGKまで下げ、再び組み立てる局面で、鈴木徳真が自陣で入れ替わろうとしてボールを重廣卓也に奪われ、そのままショートカウンターをくらう。そして中に入れられたボールを石津大介に蹴り込まれた。