鎌田大地以来の「希望」となる17歳が出現。新生サガン鳥栖の未来 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 左サイドでボールを受けると、横へドリブルして2人を引きつけ、裏にスペースを作る。そして抜群の間合いで2人の間を抜くパスを、途中出場したFW林大地に通した。林はこのボールを、ディフェンスを背負いながら前に通してゴールに蹴り込んだ。

 結果は2-2の引き分け。勝ちきれなかったのか、負けなかったのか。

「(金)明輝監督のやりたいことを選手が表現するのに時間はかかりましたが、ブレずに新しい形を1年やり続けたことで、負けなくなったと思います」(鳥栖・林)

 1年を振り返ると、13位と残留に値する結果は悲観するものではない。内容はポジティブな面があった。特に中野は鎌田大地以来の希望で、彼を輩出しただけで今シーズンは正当化されるかもしれない。

 ただし、若い選手を起用し、経験させたから来年はより強くなる、という図式は成り立たない。降格というストレスフルな環境がないなかで、ポジションを"与えられた"感のある若手選手は、果たして結果と向き合えるのか。最後の質はまだ低く、守備に堅牢さはない。

「新しいサガン鳥栖」

 それは来シーズン、降格がある勝負で試される。

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