鎌田大地以来の「希望」となる17歳が出現。新生サガン鳥栖の未来 (2ページ目)
若さゆえの未熟さか、攻撃的シフトを組んだことの脆弱性か。こうした一発を浴びるケースが後半戦は多かった。その結果、悪くない試合内容ながらも、引き分けが多発した(今シーズン、ダントツで最多の15試合引き分け)。
もっとも、鳥栖は後半には再び主導権を握って攻め込み、"らしさ"を見せる。後半4分、右クロスは合わなかったが、左でポジションを取っていた中野伸哉が受け、左足で間髪入れずにライナー性のクロスを蹴り込む。これを小屋松知哉がコースを変え、同点弾を決めた。
「鳥栖は若い選手たちが躍動し、思い切ってプレーしていた。金監督がすばらしいチームを作ってきた」(大分・片野坂知宏監督)
鳥栖は24歳の樋口、23歳の森下龍矢、22歳の原輝綺、19歳の松岡など若手が先発メンバーに名を連ねていたが、17歳の左サイドバック、中野伸哉は別格だった。
中野は両足で蹴ることができ、基本技術が高いだけでなく、プレーが読める。難なくインターセプトを繰り返し、相手の攻撃を分断したのは、その証左だろう。間合いのよさは天才的。ボールの引き出し方だけで、何度となく対峙した相手選手を一瞬で置き去りにしていた。同点弾でも完璧なタイミングで攻め上がり、ボールを受けて奇襲的な格好になった。サイドバックとして満点で、相手に守る余裕を与えていない。
大分の右サイドが岩田智輝の欠場などもあってパワー不足は否めなかったが、それを差し引いても、17歳のルーキーのセンスは他を超越していた。
もっとも、チームとしての不安定さは拭えなかった。後半33分にはGKが蹴ったボールに右サイドの森下が食いつきすぎ、簡単にヘディングで流される。そのままサイドを崩されると、中が撓(たわ)み、フリーで受けた相手にボレーを叩き込まれた。ほぼ何も危険がないところから攻め落とされた格好で、右サイドはその後も自動ドアのように開け放たれていた。
しかし後半37分、今度は中野が何もないところから好機を創り出す。
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