今季J1、川崎フロンターレ以外で面白いチームはあったか? (3ページ目)
設問:今季J1で、川崎フロンターレ以外で面白いチームはあったか?
回答:はい。
小宮良之(スポーツライター)
ロティーナ監督のもと、サッカーの正当性を見せたセレッソ大阪 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が率いたセレッソ大阪は、チームとして"サッカーの正当性"を見せたと言えるだろう。
「守りの安定が、良い攻撃を生み出す」
その定石を守って堅守を確立し、各選手の成長・進化を促したのだ。
右アタッカーを任された坂元達裕は、今シーズンがJ1初挑戦とは思えないプレーだった。いるべき場所、やるべき仕事が単純化されているからだろう。右サイドで、存分に攻撃を創り出した。左利きだが、右でも左でも抜け出せるため、相手を幻惑させ、強力な攻め手となった。
また、奥埜博亮はFWとボランチを兼務。どちらでプレーしても、質は落ちなかった。戦術的プレーヤーとして、"ロティーナの申し子"と言えるだろう。
何よりシーズン前半戦、首位を突っ走る川崎フロンターレに唯一、食らいついていたのはセレッソだった。第11節、直接対決ではアウエーで2-5と敗れたものの、堂々と渡り合っている。その後も、リーグ戦は6連勝で地力を示していたのだ。
結局、選手層の差が出ることになって首位争いから脱落した。
「守備は堅いが、つまらない」
そんな声も聞いたし、結果的にロティーナは退任になった。
しかし繰り返すが、"ロティーナ・セレッソ"は正当性を示した。堅固な守備で、最後までAFCチャンピオンズリーグ出場圏内を競った。若いセンターバックの瀬古歩夢はマテイ・ヨニッチと組み、新人王にも値する守りを見せた。キム・ジンヒョンはスーパーセーブだけでなく、足元の技術も向上させ、GKとして総合力を高めている。
ロティーナなくして、その健闘はあり得なかった。
"川崎だけでなかったシーズン"に、1票を入れたい。
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