J1終盤戦に突入。川崎の記録更新とセレッソ大阪の戦術の奥深さに注目

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■J1は終盤戦に入り、川崎が優勝目前の状況。福田正博氏はその川崎の最終的な「記録」に注目している。また天皇杯への出場や、来季のACL出場を考えると、2位争いはかなり激しいものとなりそうで、見どころが多い。

 J1は残すところ8節ほど。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場クラブの試合消化数はさらに多いが、コロナ禍のなか、ここまでリーグ戦を開催できていることをうれしく思う。ただ、予断を許さない状況にあるのは変わりない。各チームが最後まで気を抜かずに、しっかりとシーズンを駆け抜けてほしい。

川崎がどんなすごい記録を残すかに注目が集まる川崎がどんなすごい記録を残すかに注目が集まる 終盤戦の見どころは、川崎フロンターレの記録づくしの行方だろう。勝ち点をどこまで伸ばすのか。シーズンの得点数は何点になるのか。得失点差を何点で終えるのか。

 なかでも注目しているのが、総得点だ。26試合を終えた時点で70得点。この10年間を振り返っても2011年に3位だったガンバ大阪がシーズン総得点で78得点を記録しているが、これを塗り替えるのはまず間違いないだろう。総得点を80点台、90点台まで伸ばせるのか興味深い。

 そして、この得点数こそが、川崎の今季の強さを如実に表している。川崎は2節から10連勝し、13節から12連勝。

 ジョゼップ・グアルディオラ監督は、スペインでもドイツでもプレミアでも連勝記録をつくっているが、そうした連勝記録をつくるチームがJリーグに現れたことはうれしい。なぜなら、連勝記録は「負けないチーム」ではなく、「勝ち切るチーム」にしかつくれないものだからだ。

 例えば、「10戦負けなし」には引き分けも含まれる場合があるし、極論を言えば10戦10分けでもいい。しかし、「10連勝」は10戦10勝だ。勝ち切るチームは、常に自分たちでアクションを起こしていかなければ不可能なのだ。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る