2020.11.09

徳島がJ2首位を走る必然。
スペイン人指揮官が積み上げてきたもの

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松岡健三郎/アフロ●写真 photo by Matsuoka Kenzaburo/AFLO

「Sigue、Sigue!」

 ベンチから立ち上がった徳島ヴォルティスのリカルド・ロドリゲス監督は、スペイン語で「続けろ、続けろ!」と味方FWに向かって声を張り上げていた。

 前線からのプレッシング。相手にラインを越えさせず、攻め手をしつこく封じていた。ポジション的優位に立って、ミスを誘いつつボールを奪い返し、狡猾にショートカウンターを浴びせる。戦術的によく鍛えられたチームで、各選手の役割が明確化されていた。おかげで選手はプレーを信じ、成長できるのだろう。

 リカルド・ロドリゲス監督が率いて4年目になる徳島が、毎年のようにJ1昇格を争い、J1に多くの選手を輩出している理由だ。

徳島ヴォルティスを率いて4シーズン目となるスペイン人のリカルド・ロドリゲス監督 11月7日、味の素スタジアム。J2で首位を走る徳島は、東京ヴェルディの本拠地に乗り込んでいる。

 試合は序盤からお互いにプレスをかけ、ボールを持とうとする強い意志を見せ、火花を散らした。徳島は熟成度でやや上回り、ペースを握る。7分、相手GKが蹴ったボールをセンターバックが跳ね返し、それを受けたボランチがすかさずFWに入れ、際どいシュートを放つ。ショートカウンターでゴールに迫り始める。

 16分、プレッシング戦術の駆け引きが渦巻く中だった。徳島は東京Vの選手たちを自陣奥深くまで一度引き込むと、岩尾憲が相手のマークをはがして受け、空いた前の選手につける。裏返したカウンターはシュートに結びつかなかったが、ひとつの伏線となった。

 17分、今度はボールを下げた東京Vに対し、徳島は巧妙なプレスを見せる。相手のコースを狭め、パスミスを誘発。インターセプトからダイレクトでパスを入れると、完全にひっくり返していた。一度、右サイドに展開して入れたクロスからのシュートは防がれたが、甘くなったクリアを拾い、再び右サイドからファーにクロスを入れると、これを清武功暉が右足で合わせ、先制に成功した。

 プレッシングのタイミングやコース、選手のポジショニング、ゴール前に選手が入る連動など、徳島の練度の高さが出た格好だ。