「監督3年周期説」の信憑性を探る。長期政権のあとの監督はついらいよ...

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 サッカーの世界には、「監督3年周期説」とでも言うべき考え方がある。

 簡単に言えば、ひとりの監督がひとつのクラブを率いる期間は、3年(3シーズン)が理想ということだ。

 その間に好成績を残したとしても、3年を超えて引っ張ってしまうと、マンネリ化などの理由から成績も下がってしまう。言い換えれば、ひとりの監督がひとつのクラブで高い指導力を発揮できるのは、3年が限度、というわけである。

 3年ごとに監督を入れ替えていくのが、長期的にチーム力を高く保つコツであると同時に、監督の側に立っても、高いモチベーションを保ち続けるには、それが望ましいのかもしれない。

 例外はいくらでもあるが、過去の事例に照らしてみると、監督交代のタイミングを見極めるうえで、確かに3年という期間はひとつの目安にはなりそうだ。

 例えば、ジョゼップ・グアルディオラ。

 彼は2008-2009シーズンにバルセロナの監督に就き、いきなりリーガ、コパ・デル・レイ、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の三冠を達成。過去2シーズン無冠だったチームを早々に立て直した。

 その後もリーガでは3連覇を続け、2010-2011シーズンには、再びCL制覇も成し遂げている。

 だが、4季目となった2011-2012シーズンは、コパ・デル・レイこそ優勝したものの、リーガもCLもタイトルを逃し、これを最後にバルサを去っている。

 また、監督3年周期説には、ひとりの監督が長く指揮を執り続けると、次を引き継ぐ監督の仕事が難しくなる、という意味合いもありそうだ。

 例えば、アレックス・ファーガソン。

 言うまでもなく、長くマンチェスター・ユナイテッドの指揮を執った名将であり、プレミアリーグが創設された1992-1993シーズン以降では、2度の3連覇を含む13回優勝。チームを4位以下に落としたことは一度もなかった。

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