川崎Fが大卒選手を積極獲得する理由。強化担当が明かす3つのポイント (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

川崎のルーキー三笘薫の「ぬるぬるドリブル」にDFもお手上げ>>

「これは海外と、少し感覚が違うのかもしれませんが、歴史ある日本の大学サッカーが選手の成長につながっていると思うんです。選手は大学4年間の生活のなかで20歳になって、大人になり、責任が出てくる。監督さんたちの人間育成もすばらしく、結果的にスカウトするほうは助かっているんですよね」

 当然ながら、質の高いサッカーを展開する川崎において技術は絶対に必須の要素になる。17年にJ1で初優勝し、強豪への階段を登っている今、その目はさらに厳しくなっている。

「憲剛らの活躍もあって、フロンターレが攻撃的なサッカーをしているイメージがだんだんと定着してきて、風間(八宏)さんが監督を務められた時代から、僕自身も選手を見る目や選考が明確になってきました。各ポジションに必要なスタイルをイメージしつつ、ボールを止めて蹴るという基本が備わっている選手、あるいはトレーニングによって備わる素質のある選手。なおかつ、このチームのなかで自分の特徴、これだけは人に負けないところを持っているかどうか。最終的にはそうした武器を持った選手が残っていくので」

 3年連続でタイトルを獲得しているように、川崎には強豪のイメージが根付きつつある。喜ばしい反面、向島は「チームが強くなってきたことで、声を掛けても試合に出られないからと断られるケースもあります」と話す。

「だから、最終的には、ここでプレーしたいか、このサッカーをやりたいかどうか。その思いと覚悟が大事になってくると思っています」

 それこそが大学時代から名が知られていた守田や旗手が加入するようになり、はたまた育成組織出身の脇坂泰斗や三笘が大学を経由して戻ってきた理由でもあるのだろう。

 ここに昨今の川崎の強さが隠されてもいる。向島が繰り返す。

「今後も、年齢構成などの状況を踏まえ、チームの将来性と本人の力と人間性を加味して、大学生、高校生やユースの選手をバランスよく獲得していければと考えています。ただ、このフロンターレのスタイルでプレーしたい、このメンバーと競争したいという選手ではないと、やっていけないと思います」

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