遠藤保仁の存在感は磐田でも不変。絶妙プレーにチームメイトも驚いた (3ページ目)

  • 望月文夫●取材・文 text by Mochizuki Fumio
  • photo by Nikkan sports

 加入会見で語ったその強い思いを見事に体現したデビュー戦をドローで終え、連敗を3で止め4戦ぶりに勝点を積み上げた。だが、ここ8戦連続勝ち無しで7勝10分8敗と14位に後退。この時点で17戦を残し、J1昇格条件となる2位との勝点差は18まで広がり、目標達成にはさらに厳しさを増した。

「勝点3が欲しい試合だった。チームが自信を持つためにも、次節長崎戦の勝点3は不可欠になる。勝っていい雰囲気で盛り返していきたい」

 そんなレジェンドの必勝宣言に、結果で応えてくれそうなのが、J1屈指とも言われてきた強力FW陣だ。中でも五輪代表エース候補のFW小川航基は、25節終了時の8得点でランキング7位。遠藤が加入する前の24節京都戦では、フベロ監督の下ではあまり見られなかった中盤からの縦パスを受けてゴールを決めている。

「縦パスは攻撃を活性化するし、攻撃のスイッチも入る。新監督になって、自分たちが自由に考えてボールを動かせるので、個人的には楽しいし、やりやすい」

 その縦パスこそが、遠藤の真骨頂の一つでもある。レジェンドが小川航のプレーの特徴をしっかりと把握し、さらに連係が深まることでゴール量産も可能になれば、結果的に勝利へと導くことになるはずだ。そんなチームのかじ取り役を任された遠藤が、新しい挑戦の第一歩となった松本戦後の取材をこんな言葉で締めた。

「初めてプレーした(磐田の)選手の特徴はだいたいわかった。試合も練習もいい雰囲気の中でできているし、ここから自分の役割や、やらなければいけないことが見えてくると思う。それを整理しながら、若い選手たちとともに自分の新たな1ページに加えていきたい」

 加入直後の敵地での初戦に輝きを見せた40歳が、その経験と力で名門をどこまで復活、けん引できるのか。終盤に向かうJリーグに、大きな楽しみがひとつ加わったことは間違いない。

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