2020.10.12

大分が見せる戦力差で劣るチームの正しい姿。大敗にも悲観の必要なし

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yosshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

◆「トリコロール美女。横浜FMのチアリーダーたち」>>

 10月10日、ニッパツ三ツ沢球技場。台風14号の接近によって、スタジアムは激しく降る雨に煙っていた。敵地に乗り込んだ大分トリニータは、完膚なきまでに叩きのめされている。王者・横浜F・マリノスの攻撃力の前に、4-0と大敗だ。

 大分のサッカーは限界なのか?

 横浜FM戦、大分はこれまで追求してきたサッカーで戦っている。GKも含めて丹念に後ろからボールをつなぎ、それぞれが正しいポジションをとることで、攻守にアドバンテージを与えない。非常に理にかなった戦い方だ。

 片野坂知宏監督が就任して5年目。J3からJ2、J1と着実に昇格し、昨シーズンはJ1で9位に入ったことは、その正当性を示している。サッカーの回路が整備されているだけに、それぞれの選手が仕事を理解し、それによって組織が機能。ストライカーである藤本憲明(ヴィッセル神戸)、オナイウ阿道(横浜FM)などが飛躍していった。

 この日も大分は練度の高さを見せている。前半は常に各選手が適切なポジションの取り、お互いをカバーし合う形で、容易にはラインを突破させていない。抜けそうに見えても、抜けない網の目を張っていた。攻められながらも、守りは堅かった。

成長著しいセンターバックの岩田智輝(大分トリニータ) 攻撃でも、大分らしさを見せている。例えば後半52分、しっかりラインを作ってボールを奪い返した後だった。横浜FMの鋭く分厚いプレッシングに対し、バックパスを受けたGKが右サイドにつける。そこで奥行きと幅を使って相手を走らせ、食いつかせてからのダイレクトパスで回避し、左サイドへ展開してからゴール前まで迫った。

 しかし、単純に前線のパワー、精度で劣って、勝ち切れない。

 一方の横浜FMは、ブラジル人FWジュニオール・サントスが前半から躍動。後半もカウンター1本のパスで大分DF2人をかわし、ゴール前まで殺到。強引に流れを作った。相手のラインを強引に押し下げた。

 横浜FMは、敵陣に入ってボールを持つと滅法強い。数度にわたってクロスを入れ、跳ね返すだけの状況に大分を追い込む。波状攻撃を続けた後だった。55分、ヘディングのクリアのこぼれを拾った松原健が、エリア外からの左足ボレーを放り込んだ。