坂元達裕ら大卒→J2経由で躍動するJ1選手が急増中。その是非を問う (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 クラブ側にとっては、選手の能力の見極めに時間をかければかけるほど、"ハズレ"を引く確率は下がるのかもしれないが、その分、評価を先延ばしにされ、割を食うのは選手側だ。J1にたどり着くのが遅くなれば、その先に見えてくるはずの海外移籍や日本代表選出も、可能性がゼロになるわけではないとしても、少なからず低くなるのは確かだろう。

 高校卒業の段階ではもちろん、大学での4年間を経てもなお獲得には至らず、J2で活躍してようやくJ1クラブが獲得に動く。そうした遅咲きの選手がごく稀にはいてもいいが、それが当たり前になり、しかもあまりに美化されてしまうとなると、無邪気に喜んでばかりもいられない。

 当然、選手それぞれの成長のタイミングには違いがあり、早熟な選手もいれば、晩成の選手もいる。どこかのタイミングで一律に選手の能力を完全に見極めることなど、不可能だ。坂元には坂元の、古橋には古橋の、J1でプレーするに相応しいタイミングがあり、それがたまたま"今"だった。それだけのことかもしれないし、きっと、そうなのだろう。

 だとしても、彼のポテンシャルをもっと早く見抜き、もっと早くレベルの高いプレー環境を与えていたら、今頃どうなっていたのだろうか。

 その視点は絶対に持っているべきものだと思う。

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