最強・川崎フロンターレはなぜ圧倒的にボールを保持できるのか (2ページ目)
しかし、川崎は相手にマークされていても平然とつなぎきってしまう。
形ではなく技術で解決してしまっている。この技術の高さが、あらゆるプレーの土台になっているのだ。
土台をつくったのは、風間八宏前監督の時代だった。風間前監督は「ボールを静止させろ」と選手たちに要求していた。ボールの中心から上の一点を触ればボールは静止する。足を引く必要もない。点に触ることがすべてなので、ボールが体より前でも懐でも同じように静止させられる。
静止させられれば、逆にボールを動かすことも容易にできる。ボールを意のままに扱える技術と自信があれば、自ずと見えてくる景色は違ってくる。時間の感覚も変わる。相手のプレッシャーはプレッシャーでなくなる。
ほかのチームなら躊躇する状況でも、川崎の選手たちにはまだ余裕なのだ。だから平然とパスをつないでしまう。通りそうもないパスも通す。簡単に言えば、プレーのレベルが違うということになる。
しっかりした土台の上に4-3-3という建物を乗せたのは、現在の鬼木達監督である。
4-3-3はヨーロッパの強豪チームではスタンダードとも言えるシステムだが、Jリーグでは採用するチームがほとんどなかった。4-3-3はざっくり言えば強者のシステムだからだろう。
ボールを保持して攻め、敵陣からプレスしてボールを奪うのに向いている。バルセロナ、レアル・マドリード、リバプール、マンチェスター・シティ、バイエルンなど、それぞれのリーグで圧倒的な力を持ち、ほかとの格差がはっきりしているから、強者のシステムを採用しやすい。
一方J1は、毎年終盤まで複数のチームが優勝を争う、力の均衡したリーグだった。強者のサッカーで押し切ろうとするには勇気がいる、むしろそれが蛮勇になりかねないリーグと言える。
今季、4-3-3を採用するチームが急に増えた。開幕時点では優勝候補とは言えないようなチームでも採用していた。その背景にはビルドアップの進化がある。昨季から、形状変化を使い、GKもつなぎに参加させて、自陣からパスをつなごうとする傾向が出ていた。
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