交代枠5人の活用を数字で検証。
うまいチームと下手なチームはどこ? (3ページ目)
さて、交代選手の得点だけを見ると、川崎、大分、FC東京などが目立つが、もちろん、選手交代の効果は直接ゴールを決めることだけにあるわけではない。
試合の流れを変える、あるいは、膠着した試合を動かす、といったことも、交代選手の重要な役割となる。
その点で言えば、セレッソ大阪は、交代選手のゴールが試合を決めたケースこそないものの、3人目以降の選手交代が行なわれたあとに決勝点が決まった試合と、同点に追いついた試合がそれぞれ1試合ずつある。1試合平均の交代人数は4.2人と比較的少ないが、実は目に見える数字以上に選手交代を結果につなげている。
また、FC東京は1人目の平均交代時間が37分という極端な数字を記録しているが、これは前半のうちに度々負傷者が出ていることの影響である。
しかし、そうした不運に見舞われながらも、これだけの勝ち点を重ねているのは、充実した戦力の裏付けがあればこそ。交代ゴール数も4と、川崎、大分に次ぐ数字を残していることからも、それはうかがえる。
その一方で、選手交代を行ないながらも、それが勝ち点獲得につながっていないのが、ベガルタ仙台やサガン鳥栖である。
C大阪などとは逆に、複数の選手交代を行なったあとに同点に追いつかれたり、勝ち越されたりする試合が目立ち、競った試合で選手交代が状況を好転させる材料になっていない。
選手交代の枠が増えたことは、過密日程を乗り切るうえで、間違いなく各クラブの助けになってはいる。しかし、だからといって、どんどん選手を交代させれば、すなわち勝ち点に結びつくわけではない。
むしろ、交代枠増はそれぞれのクラブが有する戦力の充実度を、より際立たせる結果になっているのではないだろうか。
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