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清水エスパルスの魅力ある冒険。
信念を貫いて王者のスタイルに挑む (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 では、そこで何がその後の成否を分けたかと言えば、自分たちが進む道を信じることができたか否か、である。

 それは、風間八宏監督時代、どんなに成績が悪くとも現在につながるスタイルをブレることなく貫き、それが鬼木達監督に引き継がれ、J1連覇という大輪を咲かせるに至った川崎にも通じるものだ。

 クラモフスキー監督は「選手全員が信念を持ってやり続けている」と話すが、清水の選手たちには、横浜FMの成功が自信を与えている部分はあるだろう。

 すでに成功例があるから、というだけではない。何と言っても、実際にそれを成し遂げた人物がチームを率いているのだ。

「いいときも悪いときもある。こういうことは、山を登るときには当然あることだ」

 そんな指揮官の言葉も、選手たちにはストンと腑に落ちるはずである。

 しかも今季は、特例としてJ2降格がない。つまりは、他チームとの勝ち点比較に怯える必要はなく、自分たちが取り組むサッカーの進捗状況のみを絶対評価によって判断できるメリットもある。そうした点においては、清水は横浜FMより早いペースで変革の道を進む条件を備えていると言えるのかもしれない。

 加えて言えば、直近の浦和戦での先発メンバー11人のうち、日本人選手は6人。そのうち、実に5人をホームグロウン選手が占めているというのも、清水が持つ魅力のひとつだ。

 自前で育てた選手たちが新たなスタイルに挑む様は、サポーターにとって少々のドキドキはありつつも、それ以上に大きなワクワクを持って見守れる冒険譚ではないだろうか。

 現在は大きく負けが先行し、辛うじてJ2自動降格"相当"圏から逃れる16位。だが、清水を取り巻く空気は悪くない。

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