はや頂点が見えた。「異例のシーズン」の優位性をすべて備える川崎F (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • ヤナガワゴー!●撮影 photo by Yanagawa Go

 ところが、すでに選手交代の準備ができていたにもかかわらず、試合の流れを変えられないまま、横浜FCに同点ゴールが生まれた。川崎の描いていたシナリオは、よもやの誤算で崩れてしまったかに思われた。

 しかし、川崎が真の実力を発揮したのは、ここからだ。小林が語る。

「ちょうどピッチに入るときに失点したので、薫と『やることがはっきりしたね。オレらが点を取るぞ』っていう話はしていた」

 スコアの上では試合を振り出しに戻された川崎だったが、この選手交代で完全に息を吹き返した。

途中出場で2得点をマークした小林悠途中出場で2得点をマークした小林悠 決勝点となった勝ち越しゴールは後半30分。三苫が鋭いドリブルで相手DFのファールを誘い、PKを得ると、これを小林が落ち着いて決めたものだ。

 横浜FCの下平隆宏監督が「PKのシーンはちょっと不運。正直、ジャッジに不満はある」と語ったように、映像で見直す限り、三苫に対するファールはなかったように見える。

 だが、「とはいえ、三苫選手が入って、流れを変えられたのは事実」と下平監督。ひとつの判定を敗因にするのが難しいほど、試合の流れが大きく川崎に傾いたのは間違いない。

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