家長昭博が作る見事な攻撃の「幅」。
フロンターレは多様性が増した (2ページ目)
球際の攻防が試合展開を左右したひとつの要因だろう。とりわけ前半は、デュエルでも、切り替えの速さでも、川崎のほうが優っていたのは確かだった。
とはいえ、それ以上に際立ったのは、川崎の組織性の高さだ。
全員が的確なポジショニングを保ち、ダイレクトでパスをつなぎながら局面を動かしていく。その迷いなきプレー選択の連続が小気味よいサウンドを響き渡らせ、相手の守備陣を翻弄した。ボールホルダーが孤立しがちなFC東京とはあまりにも対極で、その差こそがスコアにそのまま表れた試合だった。
もっとも、川崎のパスワークの秀逸さは、なにも今季に限った話ではない。風間八宏監督が指揮した2012年からそのスタイルは育まれてきたのだ。
もちろん昨季も、その武器は備わっていた。しかし、ボールは支配できても得点になかなか結びつかず、勝ち切れない試合が目立った。昨季はリーグ最少の6敗ながら、リーグ2位の12引き分けが響き、3連覇の夢が絶たれることとなったのだ。
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