2020.07.12

今の川崎の強さに通じる、
9年前のスペインで語られた家長昭博の言葉

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ふと思い出したのは、9年前の試合である。

 2010-2011シーズンのリーガ・エスパニョーラ第31節、マジョルカvsセビージャ。この試合に左利きの日本人選手が出場していたのだが、もちろん、まだ「TAKE」(久保建英)ではない。

 3トップの右FWで先発出場していたのは、「AKI」こと、家長昭博。この試合で家長は、左サイドからのクロスに頭で合わせ、先制点を決めている。それは、彼にとってのリーガ初ゴールでもあった。

 足技に長けた家長の、ヘディングでのゴールは珍しい。だが、その日見た彼のヘディングシュートは、かなりフリーな状況だったとはいえ、自分のもとにやってくるボールに対して、しっかりと体の正面を向け、確実に前頭部でボールをとらえる正確性の高いものだったと記憶している。

 いつもはクールな背番号14が、ゴールと同時に右コーナーフラッグ方向へ走り出し、大きくジャンプ。体全体で喜びを表していたことも印象深い。

「(クロスがよかったので)決めるだけのゴール。(クロスを上げたチームメイトの)カストロに感謝です。でも、プレッシャーが激しいときには、あんまりボールをもらえなかったし、もうちょっとボールに触わらないと。チームの組み立てのときに、もっと顔を出すという部分では向上しないといけないし、ディフェンスの面でも周りに助けてもらってることが多いので、課題はいっぱいある」

 試合後、そう話す家長はもうすっかり冷めた口調になってはいたが、「こっち(スペイン)に来て、相手チームも含めていい選手が多いのは楽しいし、それが僕にとって、毎日の刺激になっている」と充実感もうかがわせていた。

 さて、話を現在に移そう。