斉藤光毅18歳、一美和成22歳。横浜FC2トップの底知れぬポテンシャル
メンバー表のJ1通算出場数の欄には、ひとケタの数字がずらりと並ぶ。
18歳のアタッカーをはじめ、19歳のCB、ふたりの大卒ルーキー、今季がJ1初参戦の中堅と、その実績だけ見れば、あまりにも心もとない陣容である。
今季2ゴール目を決めた横浜FCの一美和成 サンフレッチェ広島と対戦した2月のルヴァンカップでも、同じ想いを抱いた。
組織性に優れる一方で、特筆すべき部分に欠け、J1における経験不足も否めない。「守って、カウンター」というスタイルではなかったので、降格こそしないと感じたが(実際に今季の降格はレギュレーション上なくなった)、苦しいシーズンになるのではないか......。それが、13年ぶりにJ1に復帰した横浜FCに対する開幕前の印象だった。
ところが、7月12日にニッパツ三ツ沢球技場で見た彼らのイメージは、大きく異なった。ベガルタ仙台を相手に、多くの時間帯でボールを保持し、意図的に局面を進めてゴールに迫っていった。
前節に柏レイソルを下して初勝利を挙げたことも、気持ちを楽にさせていたのだろう。相手のプレッシャーにも動じず、最終ラインから落ち着いてボールをつないでいく姿に、「J1でもやれる」という確かな自信が感じられた。
「選手たちが引き上げてきた表情は、勝ち点3を取れなかった悔しさのほうが強かった。J1のチーム相手に勝てたんじゃないか、というゲームができたのはポジティブに捉えたい」
試合は先制しながらも追いつかれ、1−1の引き分けに終わった。しかし、下平隆宏監督が指摘したように、内容的には横浜FCが勝ち点3を手にしたとしても、おかしくない試合だった。
とりわけ、2月の試合と大きく異なったのは、つなぐ意識の高さだ。システムを4−2−3−1から3−1−4−2に変えたことで、ビルドアップの質が向上。なかでも、アンカーを務めた佐藤謙介が秀逸なパフォーマンスを見せた。
常にボールを受けられる位置に顔を出し、最終ラインからボールを引き出すと、巧みにターンして前を向き、サイドや前線へと質の高いパスを供給。一瞬の隙を見逃さず一美(いちみ)和成の先制ゴールをお膳立てしたFKの質も高く、このプレーメーカーが横浜FCのポゼッションスタイルのカギを握っていることは間違いないだろう。
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