泣き崩れた中村憲剛の姿を忘れない。2017年の川崎は本当に勝負強かった (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

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 優勝を取材したいメディアは、鹿島がジュビロ磐田と対戦するヤマハスタジアムと、川崎が大宮アルディージャを迎え撃つ等々力に二分されることになる。

 テレビや新聞などの媒体は、それぞれの会場に人員を配置できるだろうが、フリーランスのライターの身体はひとつしかない。試合は同時刻に行なわれるため、どちらに向かうか決めなければならなかった。

 正直に言えば、筆者も迷いに迷ったし、悩むに悩んだ。しかし、それまでの戦いを振り返った時、等々力に引き寄せられるポイントがいくつもあった。

 その年から鬼木達監督が率いるようになった川崎は、「うまいチーム」から「強いチーム」へと変貌を遂げていた。

 前任者である風間八宏監督は超攻撃的なサッカーを展開するチームを作り上げていった。そして、指揮を引き継いだ鬼木監督はそのチームのよさを活かしつつ、守備にも着手。2017年シーズンに臨むにあたって、選手たちにこう説いていたという。

「攻撃できない時は必ずある。その時は守ろう。守れる力があれば、また攻撃することができる」

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