Jリーグ史上初の二度目のMVP。2013年の中村俊輔はスーパーだった (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

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 もちろん、プレスからの速攻がベースであることに変わりはなかった。素早くファーストディフェンダーを決め、チーム全体がそれに連動してボールを奪い、ショートカウンターを仕掛ける。そんな攻撃が十八番ではあった。

 だが、トップ下の俊輔が攻守両面での切り替えのスイッチとなることで、チームは確実に戦術の幅を広げていった。とくに攻撃面でのタクトさばきは絶妙で、巧みに緩急をコントロール。カウンターのチャンスになりそうな場面でも、身振り手振りをまじえて味方に指示を送り、闇雲に攻め急がせない。開幕当初から俊輔がチームの大黒柱であることに変わりはなかったが、その"目立ち方"は明らかに変化していた。

「セルティックでもそうだったが、(チームの調子が)いいときは自分(のプレー)もよくて周りもいい」

 自身が口にしていたそんな言葉からも、俊輔がいかに気分よくプレーできていたかがうかがえる。

 第21節で首位に立った横浜FMは、それ以降、(首位と同勝ち点で得失点差の2位はあっても)勝ち点のうえでは一度も先頭を譲らなかった。第32節終了時点では、2位に勝ち点4差。残り2試合でひとつ勝てば優勝が決まるところまで漕ぎつけた。

 ところが、横浜FMは優勝を目前に、ラスト2試合で連敗。2位のサンフレッチェ広島に優勝をさらわれる結果に終わった。

「キャプテンとして、こういう試合で勝てず、ファンの人に申し訳ない」

 最終戦後、俊輔は悔しさをかみ殺すように、そう語った。

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