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レイソルに再びただならぬ気配。
2度目の奇跡をもたらすキーマンは? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 どのチームにとっても、J2降格は屈辱的な出来事である。だからこそ、一刻も早くJ1へ戻りたいという気持ちを強くする。

 だが、2010年シーズンも、そして昨季も、ネルシーニョ監督は決してJ1昇格だけをターゲットにはしていなかった。Jリーグでの経験豊富な69歳の知将は、「昨季はJ1に復帰するというミッションを掲げて戦ってきたが、その一方で、J1復帰を見越して、若手を中心にクオリティの高い選手の補強にフロントが動いてくれた」と語り、こう続ける。

「J1を戦うための、クオリティの高いチームが準備できたと思う。J1への思い入れは格別なものがあり、選手も意欲的に取り組んでくれている」

 高い位置から力強いプレスを仕掛け、奪ったボールを素早く相手ゴールへ向かって運んでいく。昨季J2を戦うなかで、柏はそんなスタイルを確立していった。ネルシーニョ監督が、選手たちに厳しく求めていたのは、「インテンシティ」と「テンポ」。勝った試合であろうと、必要な要素が欠けていれば、それを口酸っぱく言い続けてきた。

 昨季J2での42試合をこなすなかで身に着けたスタイルは、柏が今季J1を戦ううえでのベースとなるものだ。ネルシーニョ監督は、「どの試合でも、どのタイミングでもやれるとは思わないが」とつけ加えたうえで、こう話す。

「高い位置でボールを引っかけられれば、相手ゴールの近くから攻撃を仕掛けることができる。相手は守備の準備ができておらず、有効な攻撃を仕掛けられるだけのスペースもある。高い位置からの守備は、レイソルのスタンダードになっていくと思う」

 J2を戦うなかでチーム作りを進め、上でも通用する態勢を整えたうえで、J1に乗り込む。そんなサイクルですでに実績を残していることが、昇格1年目にもかかわらず、柏の前評判を高めているのだろう。

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