香川真司が始めた教室。人間力や言語化能力をサッカーから伸ばす方法とは? (5ページ目)
「この練習メニューをやっていておもしろいのは、スタート時はみんな適当に逃げたり追いかけたりしています。そのうち、赤チームの誰かが『ひとりずつ追いかける人を決めよう』と言って、サッカーでたとえるところのマンマークを始めます。最初はうまくいくのですが、4つの箱の中に16人が入り乱れるので、今度は青の子の中にその状況をうまく使って逃げる子が現れます。そうすると、同じチームのほかの子が学び出して、赤の子が自分の相手をとらえきれなくなります。
そうしていると、赤の誰かがそのゲームの最中に『この子はオレが見るから、そっちに逃げた子を見て』とマークチェンジのアイディアを思いつきます。このように練習メニューもきちんと設計すれば、子どもが自分で気づき、試行錯誤を行なう状態を創造することができます。この2つの変化は、サッカーでいう『マンツーマンディフェンス』と『ゾーンディフェンス』ですよね。
別に、私たちはこれを教えようとしたつもりもなく、子どもが自然に見つけていったんです。これが私たちの大事にしている『工夫の余白を残す』という意味です。もちろん、子どもの年齢やレベルに合わせてボールの有無などの条件をアレンジすれば、どの子もサッカーのトレーニングとして楽しめます」
5 / 7