清水のクラモフスキー監督が語る日本。「W杯で優勝してもおかしくない」 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・構成 text by Igawa Yoichi
  • 小倉直樹●撮影 photo by Ogura Naoki

──あなた自身のフィロソフィーを教えてもらえますか?

「選手たち、指導陣、そして観ているファンも楽しめる攻撃的なフットボール。重視するのは、スピード、リズム、テンポ、スキル、ハードワーク、チームスピリットなど。いかなる困難に直面しても、その信念を貫くことが大事だと考えている」

──プロのフットボールの指導者として、最もすばらしいことはなんでしょうか?

「すべてだよ。何よりも好きなことを仕事にできているのだから、自分は本当にラッキーだ。それは私だけでなく、フットボールを職業にしている人に共通する思いだろう。プロの指導者の生活も大好きだ。毎日のトレーニング、芝生の匂い、試合の緊張感、ファンの大声援──。最高の職業に感謝している」

──Jリーグと日本のサッカーの印象は?

「スキルフルでスピーディーな選手やチームが多いよね。日本はアジアの盟主として、この地域を牽引してきたわけだが、実際に来て、その理由がわかった。育成年代では、高校サッカーが広く受け入れられており、私も彼らのプレーに心を動かされることがある。大学サッカーも盛んだし、小学生や中学生の競技人口も多い。もちろん、クラブのアカデミーも充実している。このように、日本にはすばらしい土台がある。

 だからこそ、そのトップレベルであるJリーグや日本代表のレベルが高いのだと思う。個人的には、日本代表はW杯で優勝してもおかしくないと思っている。次ではなくとも、そう遠くない将来に」

──日本で生活を始めておよそ2年が過ぎました。日本にはどんな印象を持っていますか?

「美しい国だ。人々は親切で私のような外国人を快く受け入れてくれる。人々は他者を敬い、どこも清潔で、すばらしい文化がある。私は以前から、いつか日本で仕事をしてみたいと思っていた。だからアンジェがマリノスからオファーを受けて、一緒に日本に行こうと言われた時は、念願が叶ったと小躍りしたよ。

 実際に生活を始めると、その想像さえも超えるすばらしい日々が待っていた。私の2番目の子どもは日本で生まれた。私の家族にとって、日本は第二の故郷になった。いや、その娘にとってはオーストラリアよりも馴染みのある国だね」

ピーター・クラモフスキー
Peter Cklamovski 1978年10月16日生まれ、オーストラリア・シドニー出身。2008年にギリシャのパナハイキFCで指導者のキャリアをスタートさせ、その後オーストラリアのクラブや世代別代表チームのコーチや監督を歴任。2018年より2シーズン、横浜FMのヘッドコーチを務めた。12月に2020年シーズンから清水エスパルスの監督となることが発表された。

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