2020.01.20

鹿島の新監督は中田英寿の元同僚。
今までのブラジル人とはひと味違う

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 鹿島アントラーズを新シーズンから率いることになったアントニオ・カルロス・ザーゴは、経験豊かな監督だ。

 ちなみに、ブラジル人にとって彼は「アントニオ・カルロス」だが、そのほかの国、イタリア、スペイン、トルコ、そして日本では「ザーゴ」として知られているようなので、この記事でも彼をザーゴと呼ぼう。

 鹿島はブラジルで最も愛されている日本のチームであり、これまでも多くのブラジル人監督がチームを率いてきた。エドゥ・コインブラ(ジーコの兄)、ジョアン・カルロス・コスタ、ゼ・マリオ、ジーコ、トニーニョ・セレーゾ、パウロ・アウトゥオリ、オズワルド・オリヴェイラ、ジョルジーニョ。

 しかし鹿島の新監督は、彼らとは明らかに一線を画している。共通点はブラジル人であること、そして攻撃的なサッカーが好きなこと。それだけだ。

鹿島アントラーズのザーゴ新監督(写真はバルメイラス監督時代)photo by Getty Images これまでの鹿島の監督たちは、一様に冷静沈着で、落ち着いた人物であった。しかしザーゴは違う。ホットで性格的に強く、エモーショナルで激しく、エネルギッシュ、そしてなによりも挑戦的で危険を恐れない。

 私はザーゴのことを、プロ選手としてのキャリアをスタートしたサンパウロ時代から知っている。ここで彼はリベルタドーレス杯をはじめ多くの重要なタイトルを勝ち取った。1991年からはブラジル代表にも選ばれ、その後ヨーロッパのチームに呼ばれたが、プレーしたのはスペインリーグでも弱小のアルバセテ。彼は満足ができず、ブラジルに戻って名門パルメイラスに入った。ここでのザーゴはスター選手であり、チームのキャプテンも任された。

 その後、日本の柏レイソルに移籍、チームの守備の要となった。レイソル時代にも私は何度か彼と話をした。「レイソルには満足している」と言いながらも、彼はずっとヨーロッパのビッグチームを見つめていた。結局は24試合出場しただけで、またブラジルの名門コリンチャンスに移籍した。

 やがて、真面目でハードでパワフルなザーゴのサッカーは、ついに彼をヨーロッパに導いた。イタリアのビッグチーム、フランチェスコ・トッティのローマに移籍したのだ。守備に問題を持っていたローマは、それを解決するためにザーゴを獲得。ザーゴは当時のローマにとって最適な選手だった。ロマニスタは、彼のハードで激しく、敵のアッタカ―に対して無慈悲なプレーを愛した。そして2000-2001シーズンには夢に見たリーグ優勝を果たす。