仲川輝人、伊東純也と共通点も異なる魅力。静岡学園の松村優太に注目だ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 その特徴は、仲川とかなり似ている。170cm/60kgは、161cmの仲川よりひと回り大きいとはいえ、小柄であることに変わりがない。そしてふたりとも50mを5秒台で走る快足の持ち主だ。

 スピード感溢れる小柄な右ウイングという点で一致するふたりだが、広いスペースにボールを持ち出し、スピードを活かして前進する仲川に対し、松村は狭いスペースでも、相手のマーカーとの距離が近くても、それを苦にせず持ち味を発揮する。

 ボールが身体に磁石のように吸い付いて見えるタッチの細かいドリブルだ。狭い中を縦方向にハイスピードで前進することができる理由である。

 しかも、その状態を長く維持することができる。そのスピードは加速性にも富んでいるので、あれよあれよという間に滑らかにスイスイと進むのだ。5m、10m、20m......。気がつけば30~40m進んでいる感じだ。一気にドーンと30m、40m突き進むスタイルではない。

 あくまでも高校選手権のレベルなので、Jリーグや国際舞台でその魅力がそのままストレートに反映されるとは思わないが、大きな可能性を抱かせることは確かだ。

 これまでスピードスターと言えば、ボール操作術に難を抱えるきらいがあった。自身のスピードに、ボール操作が追いつかず、制御不能となりボールが暴れてしまうというケースが目立った。スピードスターと騒がれる選手が現れるたびに、そうした傾向がどれほどあるか、疑ってかかる必要があった。

 仲川、そして日本代表の右ウイング、伊東純也(ゲンク)が台頭した時にも、その点に注視したものだ。ボール操作術は簡単に上達しないので、若い頃、少しでもそこに危うさを覚えた選手はたいてい、ある時点から伸び悩むことになる。デビュー当時はスピードが勝りすぎていたキリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)などは、そういう意味で例外になるが、松村にその手の心配は不要だ。Jリーグ(鹿島アントラーズに内定)に入って、成長にブレーキがかかるようには映らない。

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