2020.01.09

仲川輝人、伊東純也と共通点も異なる魅力。
静岡学園の松村優太に注目だ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 11日に準決勝を迎える全国高校サッカー選手権。4強の中でパッと目を惹くサッカーをしているのは静岡学園だ。パスとドリブルを駆使する個人技集団とはよく言われるが、今回はそれに加え、ボールを奪い返す速さに目が留まる。

 ボールを奪われた瞬間にこそ、チーム全体の闘争本能に火が灯るといった感じで、周囲の選手がボールと相手に向かって襲いかかろうとする。面食らった相手が、焦り慌てる間にボールを奪取する。

 静岡学園はその結果、相手陣内でボールを保持し続ける。パス、ドリブルなどの個人技が、いっそう光って見えることになる。相手は守勢一方に陥る。準々決勝で対戦した徳島市立は5バックで守るスタイルだっただけに、そうした傾向はピッチにより鮮明に描かれることになった。

 布陣は4-3-3。とりわけ際立つのが小山尚紀(左)と松村優太(右)の両ウイングだ。両サイドバックも高い位置をキープし、その動きを下支えするので、2人の両ウイングはサイド攻撃を安定的に行なうことができる。

鹿島アントラーズ入りが内定している松村雄太(静岡学園) プレッシング+サイド攻撃。スタイルは攻撃的サッカーそのものだ。日本代表を中心に回る日本のサッカー界では、代表チームが守備的な3バックを採用すると、すかさずその流れが日本全国に波及する傾向がある。トルシエジャパンが3-4-1-2を採用した時がそうだった。結果的に5バックとなり、後ろで守ろうとするサッカーを、高校サッカー選手権の舞台でも普通に見かけたものだ。

 森保ジャパンが守備的な3バックに転じようとしているいま、徳島市立的なサッカーが増えていくのではないかと危惧されるなか、静岡学園は準々決勝で、それとは真反対のサッカーを披露しながら4-0と大勝した。

 あえて言えば、それは昨季のJリーグを制した横浜F・マリノス的なサッカーである。

 その横浜FMにあって昨季、最も目を惹くプレーをしたのは右ウイングの仲川輝人だった。実際、年間最優秀選手に選出されたわけだが、いまの静岡学園もこれと似た状態にある。もし優勝を飾れば、右ウイングを務める松村は今大会の最優秀選手と言ってもいいはずだ。