今季リーグ戦出場ゼロの選手が、ひそかに永井秀樹ヴェルディ再建を支える (4ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 永井も、選手時代に同じようなことをしていた。2006シーズン、J1復帰を託されてラモス氏が監督就任したもののすぐに結果は出ず、一部の若手選手からはネガティブな声が聞こえてきていた。そんな時、永井はラモス氏の裏表のない性格が時に誤解を招いていると感じれば、言葉の真意や厳しく叱る言葉の裏にその何倍も愛情があることを伝え、チームをひとつにまとめようと努力した。そんな姿を柴崎も見て育ち、今度は自分がその役割を果たそうとしている。

 冒頭のアビスパ戦。東京ヴェルディは、攻撃を警戒して守備を徹底的に固めてきた下位アビスパ相手に、70%以上ボールを保持しながら0-2で敗れた。すでにJ1昇格争いも関係ないが、来季の飛躍に繋げるためにも、負けられない試合であることに変わりはなかった。

「気持ちを切り替えて、残り試合も変わらず、全力で戦うことが大切。結果を出せないのは選手の責任だと思っているので、『こういう苦しい時期もあったね』と笑えるように、来年につながるように、永井さんの目指すサッカーを追求したい。まだまだ取り組めてない練習もたくさんあると思うので」

 たとえ試合でピッチに立つことはなくても、試合前のウォーミングアップやベンチ、普段の練習など、チームに貢献できるタイミングはいくらでもある。苦しい時期だからこそ、いい時もそうでない時も知る自分が、チーム、そしてサッカー人として尊敬する永井を支えるのだと、柴崎は気持ちを新たにしていた。

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