2019.10.15

川崎F、悲願のルヴァン杯制覇へ。
光った重鎮コンビのリスク管理

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

「試合巧者」という言葉は、鹿島アントラーズのほうがふさわしいと思っていた。しかし、ゲームを巧みにコントロールしたのは、川崎フロンターレのほうだった。

 猛烈な台風が日本列島を襲った翌日、カシマスタジアムで行なわれたルヴァンカップ準決勝・第2戦は、川崎がしたたかな試合運びを披露して鹿島を撃破。10月26日に行なわれるファイナルへの切符を掴んだ。

復帰した大島僚太はいきなり鹿島戦で輝きを放っていた ホームで行なわれた第1戦を3−1でモノにしていた川崎に、精神的なゆとりがあったことはたしかだろう。勝ちか引き分けならもちろん、1点差以内の敗戦でも勝ち上がりが決まる状況である。唯一のネックは、アウェーゴールを与えていたこと。0−2の敗戦であれば、決勝進出は叶わない。

 考えられる策は、ふたつあった。ひとつは守備的な姿勢を保ち、リードを守り抜くこと。もうひとつはアウェーゴールを奪い、相手にとどめを刺すことだ。

 2点のリードを考えれば、前者を選択するのが常套手段かと思われた。

 しかしそこは、攻撃スタイルを標榜する川崎である。早めに追いつきたい鹿島をあざ笑うかのように、圧倒的なボール支配で相手を押し込んでいく。鬼木達監督が「今日のゲームはアウェーゴールを獲ろうという形でスタートした」と明かしたように、川崎がまず示したのは、第1戦で許したアウェーゴールをチャラにしようという姿勢だった。

 一方で川崎は、ただ闇雲に攻めたわけではない。彼らに見えたのは「やり切る」という意識。ボール回しに固執せず、パスが滞れば作り直すのではなく、多少強引にでもシュートに持ち込んでいく。

「鹿島は攻撃的になりすぎると隙を突いてくるのがうまいチーム。そこのリスク管理は意識しました」

 中村憲剛が振り返ったように、いかに隙を与えないかがこの試合の川崎のテーマだった。悪い形でボールを失うのであれば、シュートで終わらせる――。そんな割り切りが、川崎のプレーからは垣間見えた。