相棒の藤吉信次はヴェルディ新監督・永井秀樹の働きをどう見ているか (4ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 メンバー入りしていない選手にも、永井は「その時」に備えて準備しておくことの大切さを伝えている。それは「全員が戦力。試合に出ていなくても、選手全員をしっかり見ている」というメッセージが込められていると藤吉は捉えていた。

「(山本)理仁なんかは、いまではすっかり中心選手になった。永井が監督になる前は、試合に出られるかどうか、という感じでした。永井が目指すサッカーは、高い技術と同時に、高い理解力が要求される。理解という意味では、ユースで指導を受けてきた選手のほうが有利かもしれない。でも、メンバーから外れた選手でも『準備を怠らなければ、チャンスは巡ってくる』と思えるのが、いまのヴェルディです」

 実際、永井就任前は起用されてこなかった選手の出場機会が増えただけでなく、一度レギュラーから外れた選手でも、再びチャンスが巡ってくる機会が増えている。

「過去の実績は関係ない。ベテランも若手も横一線で、選ぶのは自分が見て良いと思った選手。戦術理解の高い選手、チームに貢献できる選手をメンバーに選ぶ」という永井の方針は、いい緊張感と競争意識、そして控え選手も含めた活性化に繋がっていると藤吉は見ている。

 最後に、高校から緑のユニフォームを着て、永井と同様に、内側だけでなく外側からもこのクラブを見てきた藤吉に、「ヴェルディ再建」というテーマについて聞いてみた。

「正直、何をもってヴェルディの再建になるかはわからない。いろいろな要素があるので。でも、とにかく関わるすべての人が、ヴェルディのために必死に努力していけば、光は必ず見えてくる。自分としては、クラブを離れた選手がまた戻って来られるようにしたい。すぐに何かが変わるわけではないけれど、ヴェルディを好きな者が、ヴェルディのために何ができるかを考えて、必死にやるしかない。こんなにクラブ愛の強い仲間がいるクラブは、他にはないと思っているので」

 19年という長い歳月を経て古巣に戻ってきた藤吉。早期のJ1復帰と将来を見据えた育成という、対極にある課題と向き合う親友永井を、藤吉は誰よりも間近で見守り、現役時代と変わらない明るいキャラクターで盛り上げ、支え続けている。

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