ドリブラーから華麗に変身。
38歳・松井大輔がボランチで新境地
第32節を終えた段階で、首位柏レイソルを追う2位から9位までの8チームが、勝ち点7ポイント差のなかでひしめき合う今季のJ2リーグ戦。
とりわけ、自動昇格圏内の2位・モンテディオ山形とプレーオフ出場権のボーダーライン6位・大宮アルディージャとの勝ち点はわずか3ポイント差で、試合を終えるたびに順位がめまぐるしく入れ替わる大混戦だ。
横浜FCの躍進を支えるひとりがボランチでプレーする松井大輔だ そんななか、シーズン序盤の監督交代劇からチームが生まれ変わり、ここ3カ月間にわたって負け知らずで昇格争いを繰り広げているのが、下平隆宏監督率いる3位・横浜FCだ。
目下14戦無敗(第32節終了時点)。最後に敗れた6月15日の第18節・徳島戦を終えた段階では14位に低迷していたことを考えると、まさに捲土重来といっていい。
チームを牽引するのは、レアンドロ・ドミンゲス&イバの外国人アタックコンビと、現在評価急上昇中の中山克広&松尾佑介の若手両ウイング。とくに、抜群のスピードと切れ味を誇る両翼は、好調を維持するチームの象徴的存在だ。
しかし、彼ら以上に見逃せないのが、ボランチにコンバートされたことで新境地を開拓したプロ20年目のベテラン、松井大輔の目を見張る"成長ぶり"である。
「天才ドリブラー」「ファンタジスタ」「ル・マンの太陽」。
松井を修飾するフレーズはいつも華やかだが、そんなイメージとは裏腹に、そのキャリアは挫折と苦悩が大半を占める。どちらかといえば、苦労人。そうでなければ、とっくに現役を引退していたことだろう。
たとえば、プロデビューを飾った京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)時代は2度のJ2降格を経験。アテネ五輪後にリーグ・ドゥ(フランスリーグ2部)のル・マンで再出発を図ってリーグ・アン昇格に貢献して充実の時代を過ごしたが、ステップアップ移籍した名門サンテティエンヌで再び暗転。日本代表での立場も危うくなった時期だ。
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