2019.09.05

「右の専門家」鹿島・遠藤康が、
多機能型プレーヤーとして開眼した

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 J1リーグ第25節。鹿島アントラーズが清水エスパルスに0-4で大勝したアウェー戦で、マン・オブ・ザ・マッチ級の活躍を演じたのは、2ゴールを挙げ、2点目となるPK獲得にも貢献した上田綺世(あやせ)だった。

 法政大学卒業後に入団するはずだったが、その予定を、この夏、2年前倒して鹿島入り。第16節の浦和レッズ戦(7月31日)でデビューを飾ると、第22節(8月10日)の横浜F・マリノス戦では初ゴールを決めた。

 清水戦は初スタメンだった。上田に幸いしたのは自軍の過密日程だ。鹿島がアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝で、広州恒大(中国)とアウェーで戦ったのはその4日前(8月28日)。大岩剛監督はこの清水戦に、広州恒大戦のスタメンから三竿健斗、セルジーニョ、犬飼智也、そしてGKのクォン・スンテを除く7人を入れ替えて臨んだ。上田のスタメン出場は、替えがきかない選手以外、すべて入れ替えようとしたそのベンチワークの産物だった。

 だがそのスタメンには、上田以上に気になる選手の名前があった。スタメン出場は実に開幕戦の大分トリニータ戦以来となる遠藤康である。交代出場も浦和戦(7月31日)以来。久々に見る姿だった。しかしそれ以上に驚かされたのがポジションだった。

清水エスパルス戦で先制ゴールを決めた遠藤康(鹿島アントラーズ) 遠藤と言えば、右のサイドハーフ(SH)と相場は決まっていた。資料をひもとけば、右SH以外でのスタメン出場は2012年シーズンまで遡る。右のスペシャリスト。右サイドで左利きの特性を長年にわたり活かしてきた。

 しかし、2012年をピークに出場時間は少しずつ減少。今季は清水戦前まで、わずか168分間の出場に止まっていた。現在31歳。来季以降、鹿島でプレーすることができるか、危ぶまれ始めていた。

 鹿島の布陣は例によって4-4-2。実際は4-2-3-1に見える場合も、どういうわけかチームはそれを4-4-2と言い続ける。この清水戦もしかり。4-2-3-1と言いたくなる4-4-2だった。その1トップは上田。そして遠藤は右SHではなく、微妙なポジションで構えるもうひとりのアタッカーとして出場した。