「ミシャの教え」効果は絶大。
札幌FW・鈴木武蔵の脅威が増している (3ページ目)
今季、その"落ち着き"が見られたシーンもあった。J1第16節のサガン鳥栖戦、カウンターからの攻撃で、チャナティップからボールを受けた鈴木は、右足で打つと見せかけて切り返し、そのまま左足で鮮やかなシュートを決めた。これは、周囲がよく見えており、落ち着いていたからこそ、できたプレーだろう。
札幌に来てからの、自らの成長について語る鈴木武蔵 こうしたファインゴールもあれば、いくらシュートを打っても入らない時もある。J1第20節の湘南ベルマーレ戦では、鈴木は8本ものシュートを打ちながら、ノーゴールに終わった。
――シュートを外したあと、すぐに気持ちを切り替えることができますか。
「できるだけ、そうしています。以前は、シュートを外すと気にして、気持ちが少し落ちたりしたんですよ。でも昨季、長崎で高木(琢也)監督に『(シュートを)外しても次! 何本でも打っていいから』と言われたんです。高木監督に言われると、すごく説得力があって。
もちろん(シュートを)外すと悔しいけど、その瞬間にすぎたことになっているじゃないですか。(シュートを外しても)いかに気にしないか、ミスを気にしないかっていうのが、とても大事だと思っています」
――シュートで意識していることはありますか。
「タイミングとコースですね。よくYouTubeでゴールシーンを見るんですが、それを見て、自分でもいろいろとイメージしています。たとえば、GKが前に出てくる可能性が高ければ『ループだな』とか、このタイミングで打てば『GKの反応が遅れそうだな』とか。この状況なら『この選択肢がベストでしょ』とか、そういうのをいつも考えています。
あと、これも高木監督から言われたんですが、『慌てたら、絶対にゴールを獲れない。練習でゴールを決められたら、試合でもゴールを決められるから』と言われていて、練習の時からどこに打ったらゴールを決められるのかを意識していますね」
――シュートが決まるか、外れるか、その差はどこにあると思いますか。
「心に雑音がない時は、結構入るんですよ。でも、『あっ、これはチャンスだ。ゴールを決めないといけない』とか、『これを決めたい』とか、そういう気持ちが出てくると、思うようなシュートを打てないし、入らない。めちゃくちゃゴールを決めたい、という気持ちをどれだけ押し殺して、練習の時と同じように平常心でシュートを打てるか。それが、僕にとって一番点が入るパターンです」
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