犬飼智也が鹿島に来て変わった勝利の味「喜びより先にホッとします」 (3ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

 2019年度に加入した伊藤翔、白崎凌兵、小池裕太らは、今夏に移籍した鈴木優磨、安部裕葵、安西幸輝の穴を埋めるに十分な戦力となっている。移籍で失う恐れのあるポジションを想定したチーム編成だったに違いない。それは、2018年加入の犬飼智也にも共通する点だ。昌子源、植田直通というレギュラーCB2枚を失っても、上位争いを続けるための獲得だった(もちろんシーズン途中に加入したチョン・スンヒョンも同じく)。

鹿島での勝利は「任務」と語った犬飼智也鹿島での勝利は「任務」と語った犬飼智也

 清水エスパルスのジュニアユース、ユースと経て2012年にトップへ昇格した犬飼だったが、1年目はリーグ戦出場1試合だけだった。2年目の途中、出場機会を求めて、当時J2の松本山雅へ期限つき移籍するとレギュラーポジションを獲得し、2014年にはJ1昇格を果たす。2015年清水へ復帰したものの、J2降格も経験。1年でJ1に復帰したもののケガなどもあり、2017年の出場は16試合に留まっていた。

「鹿島のSBはみな日本代表。鹿島でポジションを獲れば日本代表に近づける」

 鹿島加入時にそう話していたのは安西だった。それは犬飼も同じだった。日本代表の経験は2012年のU-19選出くらいしかない。全国的には無名とも言える存在だったが、犬飼は、日本代表入りという野心があったからこそ、鹿島へ挑戦した。

 週末の試合での勝利、そしてタイトル獲得。それが日常であり、それを現実のものにする鹿島の選手たちは皆、野心家だ。野心がなければ、厳しい戦いは勝ち抜けない。

――犬飼選手がCBでプレーし始めたのはいつごろですか?

「しっかりとそのポジションでプレーしたのは、中学になってからだと思います。小学生時代も市の選抜でCBを務めることもありました。最初はやっぱり嫌でしたね。幼いころはFWをやっていましたが、小学生高学年で中盤、ボランチなどでプレーしていたんです。小学時代の僕のアイドルは小野伸二さんで、アウトサイドでのパスを真似たりしていました。あとはジダンやロナウジーニョが好きでしたね」

――ゲームメーカーとしては、なんでCBなんだよと思いますよね。

「でも、自分が試合に出られるのなら、CBでもいいと自然に考えるようになっていきました」

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