ACL「Jリーグ対決」は鹿島に軍配。昨年の教訓を生かして広島を零封 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「もちろん、点を獲りたかったです。アウェーなので、点を獲ることが非常に大事だと思っていました」

 城福浩監督は得点を奪えなかったことを悔やんだ一方で、「前がかりになって追加点を獲られるのが嫌だったので、そこはよく耐えたなと思います」と、追加点を与えないことを評価した。

 そう思えるのも、第2戦で十分にやれるという手応えがあるからだろう。

「最少失点でしっかりと切り抜けられたことはやれた部分だし、チャンスの一歩手前のところまでは手応えがある。今度は得点を奪っていけるように進歩していかないといけない。今日は宿題をもらったなと思っています」

 つまり、1点差であればホームでの第2戦で十分に取り戻せるという感触を、この試合で得られたのである。

 ボランチの川辺駿も、前向きな見解を示した。

「コンビネーションはよくなってきている。前半の途中には、いい感じで攻めるシーンもあった。そういうシーンをたくさん作りたい。自分たちがボールを持てば相手も嫌がるはずだし、慌てず、攻め急がずにできればいい」

 CBの佐々木翔も、チーム内にいい雰囲気が生まれていることを明かした。

「今日は負けましたけど、試合が終わってから次の試合に向けてポジティブな声が出るのは、なかなかないこと。この悔しいエネルギーを結果につなげるために、いい準備をして突き詰めていきたい」

 もちろん、勝利した鹿島が優位であることに変わりはない。経験値でも前年王者が上回るだろう。

 一方で、やれるという手応えを得た広島にも、逆転のチャンスは十分に残されている。アウェーゴールを獲れずとも、1失点で抑える戦いを選択したことが、ホームでの第2戦にどのような影響をもたらすのか、実に興味深い。

 ノックアウト方式では、第2戦にドラマがあるのは、欧州チャンピオンズリーグの例を見ずとも、多くのサッカーファンが知るところだろう。6月25日に広島のホームで行なわれる一戦が、静寂のまま終わることなど、まずあり得ない。

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