2019.06.21

ジワジワ現実味を増すリージョの予言。
ビジャはただの点取り屋ではない

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「ダビド(・ビジャ)は必ず順応する。真のプロフェッショナルで、試合勘の問題だけだ。どの位置でもやるべきことを心得ているし、ボールを受ける動きのうまさは際立っている。左から右に切り込んでのシュートは、わかっていても止められない。生来的なゴールゲッターで、心配しなくても得点は増える」

 今シーズンのJ1開幕戦で、本来なら決めているシュートを外し続けた元スペイン代表FWダビド・ビジャについて、当時ヴィッセル神戸を率いていたフアン・マヌエル・リージョは予言するように語っていた。

 今季、新たに神戸に入団したビジャは、第2節で初得点を決めた後、第15節終了時点で6得点。得点ランキングでは二番手グループにつけている。チームが深刻な不振に喘ぐなか、悪い数字ではない。

前節FC東京戦でも献身的なプレーで勝利に貢献したダビド・ビジャ(ヴィッセル神戸) スペイン代表史上最多得点の記録を持つ男が真価を見せるのはこれからだ。もっとも、ビジャは単なる点取り屋ではない。

「ダビドは真のチャンピオン。なによりも、チームの勝利を望んでいる。敗北を嫌い、憎んでいる」

 リージョの言葉である。

 ビジャは周りを生かすための動きを惜しまない。必要なら囮にもなるし、サイドに流れ、そこを起点するのを得意としている。不必要なエゴイズムは持たない。

 第15節のFC東京戦は象徴的だった。

 ビジャはブラジル人FWウェリントンと2トップを組み、高く強い相棒へのハイボールに対し、献身的に動き回っている。前半、ウェリントンが後ろに反らしたボールを受けると、すかさずバックヒールで裏に入れ、三田啓貴の決定機を演出した。また、ゴールから離れた右サイドでアンドレス・イニエスタのパスを引き出し、決定的なクロスを送った。勝利のためには、脇役も厭わない。

 結果、神戸は0-1の勝利をものにした。

 ビジャはバルセロナのストライカーとして、リーガ・エスパニョーラ、チャンピオンズリーグ、スペイン国王杯、クラブW杯などあらゆるタイトルを勝ち取って、その勇名を世界に轟かせた。

 その一方で、地方クラブでも勝ち星を積み上げている。2003年から2シーズン在籍したサラゴサでは、1年目でスペイン国王杯優勝、2年目はスペインスーパーカップで優勝し、ヨーロッパのカップ戦でも躍進を牽引した。バレンシアでも、5年間の在籍で平均して20得点以上を奪いつつ、国王杯で優勝を飾っている。アトレティコ・マドリードでも、リーガ優勝に貢献している。