2019.05.30

イングランドの「敏腕」が導く。
Jリーグの新育成プロジェクトの中身

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

Jリーグ育成プロジェクトの未来 前編

 思い描いたとおりに進めば、日本サッカーの未来が大きく変わるであろう壮大なプロジェクトが、静かに船出したことをご存知だろうか。

 Jリーグが今年2月に立ち上げ、本腰を入れて動き始めた新しい育成改革「プロジェクトDNA」がそれだ。このプロジェクトをひと言で説明すれば、選手や指導者の資質を見出し育てて将来につなげ、ワールドクラスの選手を輩出することを最大の目標とする新しい育成プロジェクト、ということになる。

 近年のサッカー界において、育成の強化はその国のサッカーが強くなるための最重要ポイントとされている。たとえば、今から約5年前に行なわれた2014年のブラジルW杯で、ドイツ代表が24年ぶりの優勝を果たした時に大きなトピックとして注目されたのが、ユーロ2000での惨敗を受けて着手した彼らの育成改革にあったことは記憶に新しい。

 その傾向は、2018年のロシアW杯でも続いた。優勝トロフィーを掲げたフランスが世界屈指の長い歴史を誇る”育成大国”であることはよく知られているが、同3位に輝いたベルギーにしても、長く続いた低迷期からようやく脱した背景には、近年地道に進めてきた育成強化があった。

 一方、日本サッカー界でも、これまでJFA(日本サッカー協会)を中心にさまざまな育成面の整備が施されてきた。ただ、世界のトップを目指し、そこに定着することを目標とするならば、まだ決定打となるような育成スタイルが構築されていないのが実情だ。

 そこで注目されるのが、産声を上げたばかりの「プロジェクトDNA」である。

 このプロジェクトが過去の施策と違っているのは、これまで積み重ねた経験をベースにしながらも、世界最先端のノウハウを取り入れながら「日本独自の育成スタイル」を長期的視野に立って構築しようとしていること。しかもそれを、Jリーグと各Jクラブのアカデミーが連携するかたちで推進するという点だ。

「私たちの取り組みにおいて大切なことは、その国にあるそれぞれの”色”を尊重していくことです。当然ですが、日本には日本のやり方があります。従って、日本のビジョンや仕組みを尊重したうえで、実際にその目的に向かってどのような取り組みをしていくかという計画を立てるところから、積極的に関わっています」

 そう語るのは、「プロジェクトDNA」のキーマンで、テクニカルダイレクター・コンサルタントを務めるイングランド人テリー・ウェストリーである。