サンフレッチェ広島は若返った。平均約30歳のレッズとは対照的 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 試合は開始早々のMF森島司の一撃を皮切りに、怒濤のゴールラッシュを展開。実に4ゴールを奪っての快勝劇である。5試合で1得点の決定力不足はどこへやら。その要因のひとつに、選手起用が挙げられるだろう。

「5連敗の最初の頃とは、メンバーが代わっている。そういうなかで、今日に関しては代わった選手の特長が出た試合になった」

 そう語るのは、ボランチを務める川辺駿だ。そして「特長が出た」選手とは、先制点を奪った森島である。

 4年目を迎える22歳のアタッカーは、これが今季初スタメン。待望のJ1初ゴールとなる先制点で勢いに乗ると、25分にはCKからFWドウグラス・ヴィエイラのゴールをアシスト。さらに、63分には絶妙なスルーパスでMFハイネルのゴールもお膳立てし、実に3得点に絡む活躍を見せたのだ。

「今日はいいプレーができました。スペースがあったので、自分の持ち味を出せました」

 殊勲の森島は笑顔で振り返ったが、そのプレーの特長は鋭いドリブルにある。

 スペースがあれば果敢に仕掛け、相手の守備ブロックに風穴を開けていく。その積極性はリスクと表裏一体であり、失敗すればカウンターの温床になりかねない。したがって、リスク管理を徹底するこれまでの広島では、なかなかお目にかかれなかったプレーである。

 しかし、リスクを負わなければ、ゴールを奪うことは難しい。大胆不敵な森島のプレーこそが、広島の停滞感を振り払う要因となったことは間違いない。

 もっとも、5連敗中の広島と、この日の広島の戦いぶりに、大きな変化があったわけではない。内容は決して悪くなく、あと一歩という戦いが続いていたからだ。そのあと一歩を埋めたのが森島であり、ちょっとしたきっかけで復調できる要素はすでに備わっていたのだ。

 危機的状況ではなかったことは、選手のコメントからもうかがえる。

「去年の終盤は、ゲームをコントロールすることができなかった。今季は5連敗したけど、ゲームをコントロールしたなかで、点が獲り切れていない状況だった。そういう意味では、敗戦後の感覚は、去年とはまったく違うかなと思います」(川辺)

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