サンフレッチェ広島は若返った。
平均約30歳のレッズとは対照的
開幕から9試合負けなしと躍進を遂げ、その後もコンスタントに勝点を積み重ねて、一時は2位に10ポイント以上の差をつけて優勝街道を独走していた。ところが、シーズン終盤に突如失速。残り9試合で2分7敗という惨憺(さんたん)たる成績に終わり、川崎フロンターレに逆転優勝を許してしまった。
昨季、サンフレッチェ広島に訪れた悲劇である――。
浦和戦で3得点に絡む大活躍を見せた森島司(右) 失速の原因は、得点力不足にあったことは否定できない。9試合でわずか6得点しか奪えない攻撃面のパワーダウンこそが、昨季終盤の広島の大きな課題となっていた。
就任2年目を迎えた城福浩監督のもと、今季の広島はその課題を修正しようと、システムを4-4-2から3-4-2-1へと変更。守備ブロックを構築しながら、ポゼッションの向上を目的とした変化であり、これは広島が3度の優勝を成し遂げた時期にも採用されていた布陣である。
原点回帰とも言えるフォーメーション変更は、開幕から奏功していたように見えた。開幕2試合の清水エスパルス戦とジュビロ磐田戦は勝ち切れなかったが、第3節から怒濤の5連勝を達成。7試合負けなしで、失点はわずかに3つのみ。昨季と同様に、スタートダッシュに成功した。
ただ、昨季を上回る強固な守備組織を備えた一方で、ポゼッションの向上という大テーマをクリアできていなかった。第8節にFC東京との首位攻防戦に敗れると、そこからまさかの5連敗。この間わずかに1得点という貧打が浮き彫りとなり、昨季と同様の停滞感がこのチームに漂い始めていた。
そんななかで迎えた、第13節の浦和レッズ戦。このまま、ずるずると順位を下げてしまうのか。それとも上位に踏みとどまり、再浮上のきっかけを見出すことができるのか。広島にとって、まさに正念場の一戦と言えた。
結論から言えば、広島は4-0と浦和を一蹴し、危機的状況を乗り越えた。いや、そもそも昨季のような危機的状況など、今季のこのチームにはなかったのではないか。
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