イニエスタはどうなる? 連敗脱出も
「バルサ化」とはほど遠い神戸の今

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 J1リーグ第13節、公式戦9連敗中と光が見えないヴィッセル神戸がホームに迎えたのは、前節"誤審"がありながら奇跡の大逆転を演じた湘南ベルマーレ。

 ともに中3日という厳しいスケジュールと猛暑の中での一戦となった。神戸は今季初の3バックで臨み、両アウトサイドのスタートポジションを高い位置に置いた。

湘南ベルマーレ戦で3点目を挙げて喜ぶダビド・ビジャ(ヴィッセル神戸)湘南ベルマーレ戦で3点目を挙げて喜ぶダビド・ビジャ(ヴィッセル神戸) 試合は予想どおり、湘南がハードワークに徹して、前線から積極的にプレスをかけ、神戸のミスを誘いながら、シンプルな攻撃で主導権を握った。中盤でのボールの奪い合いで後手を踏んだ神戸は、重心が後ろになる。前線にボールが出てもサポートがなく、攻撃は個人の力に頼るだけだった。ただ、湘南もチャンスは作るが、決めきれないまま、前半を0-0で折り返した。

 後半に入ると、神戸はセルジ・サンペールに代え安井拓也を投入する。これで流れは一気に神戸に傾いた。後半9分、右サイドで山口蛍とのワンツーから抜け出した西大伍のクロスに、ウェリントンが右足アウトで合わせて先制した。

 湘南は後半15分に得たフリーキックを杉岡大暉が蹴ったが、惜しくもポストを叩いた。さらに後半22分には2枚替えで勝負に出るが、流れは変わらない。

 すると個の力、攻撃のバリエーションで上回る神戸が怒涛の攻めに出る。後半28分、山口からのパスをウェリントンがヒールで流し、三田啓貴が中央でダイレクトシュート決め2点目。その3分後には、途中出場の橋本和のパスを受けたダビド・ビジャが、ペナルティエリアまで持ち込んで右足の鮮やかなシュートを決める。さらに後半41分、途中出場のルーカス・ポドルスキの正確なクロスを、ウェリントンがヘッドで決めてとどめを刺した。

 神戸はこれで長いトンネルを抜け出した。湘南も試合終了間際に1点を返したが、後半はガス欠になったのか、自分たちのサッカーができなかった。

 この試合のポイントは、やはりサンペールに代えて安井を投入したことだ。そのままボランチに入ったものの、積極的に攻撃に顔を出し、後ろに重かったチームを前に向かせた。

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