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精彩欠く勝利は飛躍の予兆か。
FC東京に久保建英じゃない成長を見た (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「前半は相手にボールを持たれてしまった。(味方の)身体も重そうだったので、自分が右サイドで起点になろうと、裏に抜ける動きとかを多くしました」(室屋)

 もっとも、上位らしくないミスも目に付いた。攻撃はパスがつながらず、守備は相手ボールホルダーに寄せられない。バックラインと前線の距離が長く、完全に間延び。セカンドボールを拾えず、カウンター返しでピンチになるなど、"補給路を断たれる"状態に近かった。自慢の堅牢さは消えていた。

「前半は何回かパスカットされ、カウンターを受けている。その流れで、後半に先制されてしまった」(FC東京・長谷川健太監督)

 後半2分だった。キックオフから一度も自分たちのボールにできず、清水FW北川航也の巧みなポストワークに苦しむFC東京。バックラインが押し込まれた後、相手がボールを下げた後のクロスを、北川に巧妙にヘディングで合わせられ、失点した。チームとしての不具合を象徴していた。

 リードされたFC東京は、反撃が必要になったが、その後もちぐはぐさが目立った。攻守のバランスの悪さを修正できず、ペースを取り戻せない。もし後半28分、スルーパスにオフサイドぎりぎりで抜け出した北川の右足シュートがサイドネットではなく、枠内を捉えていたら――。

「1-0で勝てる相手じゃないと思っていたので、いい流れだったときに、もう1点取れていれば......」(清水・鄭大世)

 FC東京は命拾いした。実はこのとき、攻守はアジャストしつつあった。ナ・サンホ、ジャエルの投入で、左サイドからの攻撃が活性化していたのだ。

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