2019.04.07

精彩欠く勝利は飛躍の予兆か。
FC東京に久保建英じゃない成長を見た

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「勝てる雰囲気があっただけに……」

 試合後、清水エスパルスの選手は口惜しそうに言ったが、負けはしたものの手応えがあるのか、表情に硬さはなかった。

「今日はなかなか、うまくいかなかったです。チーム全体でミスも目立って、こういう日もあるかなって」

 一方でFC東京の日本代表MF橋本拳人は、逆転勝利にもかかわらず、どこか不満そうな口ぶりでそう語った。現状に甘んじていない。

「ただ、勝ち点3は大きいです」

 不調でも帳尻を合わせ、勝ち点を稼げるか――。それも、王者になるチームの試練なのかもしれない。

室屋成とともに、FC東京の右サイドを活性化させていた久保建英 4月6日、味の素スタジアム。2位のFC東京は、17位と低迷する清水を迎え撃っている。4-4-2同士のミラーゲーム。FC東京が押し込むというのが下馬評だったが、互角の展開になった。

 前半、FC東京は右サイド中心に局面を切り拓こうとした。

 攻撃軸になったのは室屋成、久保建英の2人だろう。日本代表に選ばれている右サイドバック、室屋は積極的な攻め上がりでボールを引き出し、クロスを折り返している。久保との呼吸は抜群で、久保が引いてボールを受けたときは前に出て、深みを作った。また、久保も室屋に呼応。自らボールを奪い取ってカウンターを発動させ、逞しさを見せる一方、1人で4人の囲みを抜け出るテクニックも見せ、左足でシュートを打った。