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改革進行中のセレッソ。
指揮官がもたらした「足りなかったもの」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 一方で、攻撃面には見るべきところが少なかった。最終ラインからボールを大事にする意図は見て取れたが、前線にいい形でボールが入る機会は少なく、都倉賢を頂点に、清武、柿谷がその後方に並ぶ前線トリオが孤立した。

 その原因は、ふたつ考えられる。ひとつは川崎対策として、後方からの押上げをあえてしなかったこと。あくまで守備に比重を置き、ブロックを崩さない約束事を徹底したからだ。

 もうひとつは、やはり改革の途中であることだろう。時折サイドで連動できていたものの、その頻度は少なかった。やりたいことを理解してはいるものの、まだピッチ上で体現できていない。連係は、トレーニングと試合をこなすなかで積み上げていくものである以上、まだシーズン序盤のこの時期に、うまく成立しないのも無理はないのかもしれない。

 そんななかで輝きを放ったのは、柿谷だった。

 ハードワークを求める尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督が指揮を執った昨季は、その要求に応えられずにスタメンを外れる機会も少なくなかったが、類まれなるサッカーセンスを備えるアタッカーは、スペイン人指揮官の下で復調の気配を漂わせている。

 この日も、いいボールのもらい方ができれば確実に前を向き、推進力のあるドリブルで川崎守備陣を翻弄。縦に持ち出し、コンパクトに右足を振り抜いた22分の先制点は、まさに柿谷の真骨頂と呼べる一撃だった。

 一方で、もうひとりの攻撃の軸である清武は、やや窮屈そうにプレーしているように見えた。

 多くの時間帯で押し込まれるなか、そもそもボールに触れる機会が少なく、ボールを持ってもサポートがなく、パスの出しどころも見いだせなかった。本来はボールを持ってこそ輝くタイプだが、「ポジションを守ること」を徹底されているため、下がってもらいに行く動きも制限されているという。

 その意味では、清武までボールを到達させるための経路を確保しなければいけないのだが、構築段階の今のC大阪に、そのルートは存在しなかった。

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