神戸「VIPトリオ」の開幕戦で見えた、Jリーグの戦術的レベルアップ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 ポドルスキ、イニエスタ、ビジャの3人は、いずれもワールドカップ優勝経験を持つビッグネーム。とくにイニエスタとビジャは、スペイン代表とバルセロナの両方で黄金期を支え、数々のタイトルを手にする栄誉に浴してきた。3人それぞれの頭文字を取って、"VIPトリオ"とは、なかなかうまくできた呼び名である。

 さすがに全盛期を過ぎたとはいえ、だからこそ、彼らはJリーグ史上屈指と言ってもいいほどの大きな注目を集めている。それがさしたる決定機もなく、ノーゴールに終わったのだから、期待外れと言うしかない。

開幕戦ではセレッソの守備を崩せなかったヴィッセルだが...開幕戦ではセレッソの守備を崩せなかったヴィッセルだが... とはいえ、そんなネガティブな評価も、あくまで、この試合の結果に関しては、である。

 Jリーグに限らず、日本サッカー全般の傾向として、戦術的な幅が広いとは言い難い。もちろん例外はあるが、極端に言えば、前線に向かってロングボールを蹴り込むか、ショートパス主体のコンビネーションで無闇に中央突破を図るか、のどちらかだ。

 そんななか、全9試合あったJ1開幕戦のなかでも最注目だったと言っていいこの試合の攻防は、戦術的な見応えがあった。

 ピッチの横幅を目一杯活用し、相手ディフェンスを広げようとした神戸。それに対し、DFラインのスライドと中盤のプレスバックを忠実にこなすことで、ピッチ上に穴を開けまいとしたセレッソ。これまでのJリーグでは、あまりお目にかかれなかった攻防だった。

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