神戸「VIPトリオ」の開幕戦で見えた、
Jリーグの戦術的レベルアップ (2ページ目)
この試合、神戸はやや変則的なフォーメーションで臨んでいる。
最終ラインは4バックで、中盤はアンカー+インサイドMF2枚の逆三角形と、ここまでは至ってノーマルだが、前線は右のポドルスキ、左のビジャがサイドに大きく開いて構える。そしてイニエスタは中央の、FWよりも下がった位置にポジションを取った。
数字で表記するなら、4-3-3とも言えるし、中盤がダイヤモンド形の4-4-2とも言える。いずれにしても、明確なCFを中央に置かず、実質的2トップのふたりがサイドにポジションを取ったところがミソだ。リージョ監督がその意図を語る。
「チーム全体として狙っていたのは、ビジャとポドルスキのふたりで、(セレッソのDFラインの)5人を引き付けること。そして、イニエスタは(相手の)CBから離れたところでプレーする。そうすることで、CBは(イニエスタを見張りつつも)両サイドからウラを取られる脅威にさらされることになる」
つまり、ビジャとポドルスキが両サイドの高い位置にポジションを取ることで、守備時は5-4-1の形になるセレッソのDFラインを押し込む。そのうえで、イニエスタがやや下がった位置でプレーすることにより、相手CBを引っ張り出し、中央にスペースを作り出す。そこへビジャやポドルスキ、あるいは左右サイドバックの初瀬亮(ガンバ大阪→)や西大伍(鹿島アントラーズ)が入っていくことで、セレッソの守備網を破ろうとしたのである。
たとえば、後半19分に右サイドのポドルスキが、逆サイドからゴール前へ走り込んだビジャへ。後半30分には、左サイドの初瀬が同様の西へ。いずれもクロスを通して、ヘディングシュートにつなげているが、これらが狙いとするひとつの形だったのだろう。
しかし、結果として神戸の狙いは、セレッソによって封じられた。セレッソのCBは簡単に引っ張り出されることなく、辛抱強く中央を固めた。90分を通して、どこにも穴が開かなかった。神戸に決定機が生まれなかった理由である。
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