早くも日本語で檄。福岡のスペイン人新GKはリーガの昇格請負人 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 セランテスは、スペインの名門アスレティック・ビルバオの下部組織であるレサマで育っている。

 アスレティックのチーム哲学は純血主義。地元バスク人選手だけで戦い、100年以上、1部を死守してきた。その健闘を支えてきたのが、レサマが輩出した偉大なるGKたちだった。ホセ・アンヘル・イリバル、アンドニ・スビサレータ、ダニ・アランスビア、そして現在のスペイン代表のケパ・アリサバラガ(チェルシー)などのGKを生み出してきたのだ。

「バスク人GKには真面目さ、規律正しさ、そして集中力が求められる。何より味方に落ち着きを与えられるか」

 セランテスは言うが、その硬骨さこそ、彼らのアイデンティティだろう。スペイン人というよりも、バスク人GKなのだ。

 その特長は、適応力にあるかもしれない。ハードな練習で、メンタル的にタフで鍛えられている。それゆえ、どのクラブでも成功を収められる。ケパだけでなく、バスクを出て活躍するGKは多い。

 その点、セランテスもバスク人GKとして面目躍如だった。移籍するたび、スタートは第3GKにもかかわらず、最後にはいつも第1GKとして君臨。自らを信じ、練習に打ち込み、機会を待てる才能を持っているのだ。

 そして2015‐16シーズンには、2部レガネスの正GKとして高いゴールキーピング技術を見せつけている。リーグで2番目に少ない失点数。その堅牢な守備力によって、1928年クラブ創立のレガネスを、90年近い歴史の中で初めて1部昇格へ導いた。

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