エース離脱の清水エスパルス。リーグ2位の得点力を支えるのは誰だ? (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (c)S-PULSE

 ところが、さらなる活躍が期待された今季、不整脈の症状が見られ、ブラジルに一時帰国。復帰時期は未定で、エース不在のなかで開幕を迎える可能性が高い。

 その緊急事態のなかで、今季の清水はポゼッションの向上を目指しているという。

「昨年は得点こそ多かったですけど、カウンターからのゴールがほとんどでした。実は昨季のボール支配率は、リーグワースト2位だったんです」

 そう明かしたのは、金子翔太だ。身長163cmの小さなアタッカーは、2017年にJリーグ通算2万ゴールを記録した"持っている"男でもある。在籍6年目の23歳は、昨季自身初のふたケタ得点を記録し、今季のさらなる活躍が期待される選手のひとりである。

「もちろん現代サッカーでは、ポゼッション率の高さがそのまま結果に反映されるわけではありませんが、ボールを握ることをもっとやっていかないと、上位には行けないと思っています」

 ドウグラスの個の力が求められない以上、組織としての崩しの形が必要となるのは間違いない。いかに支配率を高め、連動して相手ゴールに近づいていけるか。そこが、今季の清水の最大のテーマとなるはずだ。

 この磐田戦でもそうした意識が見られ、チャンスもそれなりに作れていた。決定力の面は課題だろうが、目指すべきスタイルが徐々に表れているのは好材料だろう。

 スタイルの変化に加え、清水の今季のストロングポイントになりそうなのが、セットプレーだ。

 今オフ、清水には3人の外国籍選手が加わった。高い攻撃性能を備えたエウシーニョが川崎Fから加入したのをはじめ、身長185cmのボランチ、ヘナト・アウグストと、身長186センチのセンターバック、ヴァンデルソンだ。いずれも強靭なフィジカルを備えたブラジリアンである。

 なかでも、ヴァンデルソンの高さは特筆すべきで、この磐田戦でもセットプレーから豪快なヘディングを叩きこんでいる。ヤン・ヨンソン監督は「流れのなかからいい形を作っていきたいが、セットプレーの面で、背の高い選手がいることに優位性があると思います」と、新戦力に期待を寄せていた。

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