これが始まり。梅崎司が語る
「ベルマーレが劇的に変わった瞬間」 (2ページ目)
新天地で自分と向き合い、他の選手と対話した。すると、見えてくるものもあった。同時に、チームにもっと伝えたい、ともに強くなりたい、という衝動がこみ上げてきた。
ルヴァンカップ準決勝前のミーティング。梅崎は選手たちに思い切って考えをぶつけたことがあった。敵に押し込まれたとき、「いったん(プレーを)切ろう」と、すべてクリアに逃げることに、疑問を呈した。
「プレーを切って落ち着ける、というのは大事だけど、それ一辺倒になってしまっては、勝ち続けるチームにはなれないと思ったんです。たとえ守りに入るのでも、片手に武器を忍ばせ、反撃をうかがうような戦いをすべきじゃないかって。それを提案しただけで、選手のプレーが劇的に変わったんです! 意識が変わるだけで、ここまで変われるものかって。自分もその姿に刺激を受けました」
ボールを大事にできるようになったし、カウンターの迫力が増した。梅崎は仲間に対する信頼を深めるようになった。このチームで勝ち続けたい、そう思うようになった。
その結実として、ルヴァンカップでは決勝で横浜F・マリノスと真っ向から渡り合い、優勝を果たしている。
そして残留争いでも、勝利への強い意識が最後はチームを救った。
第33節、梅崎は古巣の浦和を相手に先制点を叩き込み、勝利に貢献して残留を引き寄せている。相手はどこでも構わなかった。勝たなければならない試合で、自分が決める、という強い気持ちで挑んでいた。
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